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凍える月~吉之助の恋~
第5章 第二話 【鈴の音】 二
突然の吉之助の出現、以蔵がまだお絹の追跡を諦めてはいないこと。いずれもが悪夢の続きで、本当に悪い夢を見ているように、まるで現実感がない。だが、以蔵の一の子分であり、以蔵の最も身近にいる吉之助がそう言うからには真なのだ。
以蔵はお絹を本気で殺すつもりでいる。
そう思うと、怖ろしさに我知らず身体が慄えた。だが、なにゆえ、吉之助はお絹にそのことをわざわざ知らせにきたのだろうか。ふと、そんな疑問が浮かんだ。
吉之助にとって、以蔵は育ての親であり、生命の恩人だ。捨て子だった吉之助は以蔵に拾われ育てられた。吉之助自身、以蔵がいなければ、とうに自分は死んでいただろうと語った。なのに、何故、大恩ある以蔵を裏切るようなことをするのだろう。
以蔵はお絹を本気で殺すつもりでいる。
そう思うと、怖ろしさに我知らず身体が慄えた。だが、なにゆえ、吉之助はお絹にそのことをわざわざ知らせにきたのだろうか。ふと、そんな疑問が浮かんだ。
吉之助にとって、以蔵は育ての親であり、生命の恩人だ。捨て子だった吉之助は以蔵に拾われ育てられた。吉之助自身、以蔵がいなければ、とうに自分は死んでいただろうと語った。なのに、何故、大恩ある以蔵を裏切るようなことをするのだろう。