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凍える月~吉之助の恋~
第5章 第二話 【鈴の音】 二
その日を境に、お絹の身辺近くには常に吉之助の姿が影のように付き従っていた。いつでも家の窓から覗くと、樹の影に溶け込むように立つ吉之助がいる。最初はどうしても手込めにされたときの記憶が蘇り、吉之助の真意を計りかねたけれど、吉之助はけして家の中に無理に踏み込んでくるようなことはなかった。ただ樹の影に潜み、遠くからお絹を見守っているように見えた。
それから数日後の夜半、お絹はかすかな物音で目ざめた。
―くれぐれも気を付けろ。
吉之助の台詞を思い出して、布団の上に身を起こした。その刹那、何者かに背後から羽交い締めにされた。
曲者は闇から湧き出たように突如として現れ、お絹の首を後ろからきりきりと締め上げた。
それから数日後の夜半、お絹はかすかな物音で目ざめた。
―くれぐれも気を付けろ。
吉之助の台詞を思い出して、布団の上に身を起こした。その刹那、何者かに背後から羽交い締めにされた。
曲者は闇から湧き出たように突如として現れ、お絹の首を後ろからきりきりと締め上げた。