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凍える月~吉之助の恋~
第5章 第二話 【鈴の音】 二
「あ―」
助けを呼ぼうとしても声が出ない。掠れた声が空しく洩れるだけだ。呼吸が苦しい。このまま自分はここで死ぬのか―、と思った。
その時。
真っ暗な夜の闇を引き裂くように影が走った。影はお絹とお絹を絞め殺そうとする曲者に向かって突進してくる。
鋭い断末魔の悲鳴が間近で聞こえた。
一瞬の後、お絹はふいに呼吸が楽になったのを感じた。喉から大量の空気が流れ込み、自分は生きているのだと改めて実感して、涙ぐみそうになった。
無意識の中に膨らんだ腹を撫でる。赤子が無事だと知らせるように元気良く腹を蹴った。安堵感が押し寄せてきて、大粒の涙が溢れてきた。
助けを呼ぼうとしても声が出ない。掠れた声が空しく洩れるだけだ。呼吸が苦しい。このまま自分はここで死ぬのか―、と思った。
その時。
真っ暗な夜の闇を引き裂くように影が走った。影はお絹とお絹を絞め殺そうとする曲者に向かって突進してくる。
鋭い断末魔の悲鳴が間近で聞こえた。
一瞬の後、お絹はふいに呼吸が楽になったのを感じた。喉から大量の空気が流れ込み、自分は生きているのだと改めて実感して、涙ぐみそうになった。
無意識の中に膨らんだ腹を撫でる。赤子が無事だと知らせるように元気良く腹を蹴った。安堵感が押し寄せてきて、大粒の涙が溢れてきた。