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壊してほしい
第2章 願望
他にも、
ブルーのショーツ・紫のキャミソールなどを買った。
雫石は「これとこれ、どっちがいい?」と逐一氷月に尋ねた。
都度氷月が「こっち」と選んで、全て買い終えた。





エスカレーターを降りていく。

前に立っていた女性がよろけた。
『あっ!』

氷月は素早く右手を差し出し、
女性を抱き留めた。


『ごめんなさい!ありがとうねぇ』
30代くらいの女性は、
何度も氷月に頭を下げる。


『いえ、咄嗟だったんで……』
氷月は手で制した。




『危ないよなぁ、エスカレーターも。
ん?どうした?』
雫石が数段離れていた。
エスカレーターから降り、
雫石を待つ。




『…………………』
無言で頬を膨らませいる。



『どうした?ってば。
雫石さん?雫石?』


『……………氷月さん、誰にでも優しいんだ?』


『はあ?
あっ、今の女の人のことか?
転んだら危ないだろ!』


『だって…………
右手で抱き締めたよね』
ツーンとそっぽを向く。


『怒るなって。
当然の人助けをしただけじゃないか。
………………あ。
もしかして、妬いてる?』
氷月は雫石を指さした。



カアアッと頬を真っ赤にし、
雫石は背中を向けた。



氷月は胸が破裂するんじゃないかと思った。

(かわいー…………。
あれでヤキモチって…………)


雫石を背後からギュッとした。


『妬いてる雫石もいいね』


『………妬いてない』


『いーや、妬いてるね。
じゃあ他の女の人も助けよっかな~~~』
手を離す。


『やだっ!!』
雫石が振り返った。



透き通るように白い肌に赤みが差し、
雫石はじっと氷月を見つめている。


氷月は頭を撫でた。

ぽんぽん、と。


『どこにも行かないよ。
約束する。だから、機嫌直して?』

雫石は黙っていたが、
こくりと頷いた。




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