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壊してほしい
第2章 願望
『シャンプーやコンディショナーも要るよな?
買ってくか』

日用品も女子用のが必要だ。


しかし、雫石は首を横に振った。

『氷月さんが使ってるやつがいい。
同じのを使いたいよ』
と言う。




大きな瞳で見つめて言われると、
氷月は内心どぎまぎした。


抱きしめたくなった。



『そ、そっか。
じゃあ……………いいんだな?』



『うん!帰ろう』
雫石が袋を持ち笑いかける。


氷月は何よりも嬉しかった。


雫石が、素の表情で笑っていることが分かったから。






_____車を運転する。
小回りが利く軽自動車のボックスタイプだ。


氷月はモノに拘りがない。


使えたらそれで良いと感じる。



助手席に乗る雫石は、
ニコニコ笑っている。


『んな楽しかった?
まぁ、衣類が無いと困るからなぁ』
窓を開けてハイライトを吸う。



『ちっがーう!!
氷月さんに選んで買ってもらったからなの!』
雫石がムキになる。




『お、おお……………そっか』
照れくさい。


だいたい、氷月の柄じゃないのだ。


女子なんて面倒だと思っていた。
【ひいらぎ】をこなしていかなくちゃならないし、
先ず出逢いすらない。
出逢いたいとも思わなかった。


(プレゼントみたいだな。
天からの……)


淡々と進んでいく毎日に、
ポンと投げられたプレゼント。



そんな気がした。



『さ、帰って店開けなきゃな!』
アクセルを踏み込んだ。


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