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壊してほしい
第3章 染めたいよ
『ふあ~ぁ…………。

雫石-、もう拭いたかぁ?』

氷月は伸びをしながら1階に降りた。



『うん、テーブル・カウンター全部拭いた!』



『よしよし、うん』
調理服を羽織る。

白いこの服を着ると、気が引き締まる思いがする。

最近は雫石のが先に起きて下準備をしていた。

ジーンズ姿が可愛いのは相変わらずだ。



『よっし、これ飲みな』

暖房をきかせた店内は動くと暑いくらいになる。


レモン汁たっぷりのスカッシュをグラスに注いで出した。


『やったぁ!』

雫石がレモンスカッシュに飛びついた。


嬉しそうにゴクゴク飲んでいる。


チラチラ見てしまう氷月。


じっと見ても構わないのだけど。



そこは男子。
気取られたくないし恥ずかしいのだ。



『あ、そうだ。
氷月さん、今日もしお客様少なかったらしてほしいことがあるんだけど…………』



『ん?何だ?』



『髪切って?私の』



『…………え~~~…………やだ』
氷月は苦虫をかみつぶしたような顔をした。


『何で?』
雫石がむくれる。


『髪なんて切れないよ。
俺が切ったらボッサボサになるよ。
美容院代やるから切りに行ってきな』



『やだ。
氷月さんに切ってほしいんだもん!!
お願い、切り方教えるから。お願い氷月さん』

雫石は必死に懇願している。









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