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壊してほしい
第4章 突然
雫石も聞こえている。

青ざめ、手が震えていた。



『あ、彼女は…………
彼女は…………』
頭が真っ白になった。



男は30歳くらいか。

いかにも役場勤めといった、黒髪短髪できちんとしたスーツ姿。


『妹です!!』



『へ?』
『は?』


男と雫石の声が被った。


『あ、いえ。
妹みたいに大事にしてる、親戚の子なんです。
隣の市に自宅ありますから………雫石、
学生証出して見せてあげて?』


雫石に言うと、
『うっ………うん!
はい!』と奥の部屋に駆けて行った。


ガサガサ音がしたあと、
雫石は再び駆けて戻る。


『学生証です』



『拝見させてもらうよ』

学生証。

お嬢様学校のだ。



『えーと…………。
ご両親はバイトしてるのをご存じだよね?』



『はい、もちろん。
社会勉強だから励むようにと言われております』

雫石の口調が変わった。


『ふむ……、隣の市からなら通えるね。
いえね、よくあるんですよ。
家出している少年少女がね。
失礼しました、お返ししますね』

学生証を雫石に返す男。



立ち上がり、氷月に『失礼しました。
美味かったよ、ピザトースト』と笑いかけて勘定をし、出て行った………………………



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