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壊してほしい
第4章 突然
____かくて雫石は、
手伝いNGになり6畳の地下室に住むことになった。


氷月は1人でカフェを回しながら、
合間で地下室に隠っている雫石を想う。


(隠して悪いけど。
離れたくない)


リンゴの皮を剥きながら、

変わってきた自分の感覚におののく。



(俺、どうしたんだろう?
今まで1人で何とも思わなかったのにな)


昔からだ。


飄々としていて、

友人もあまり深く付き合わず適当に合わせておく。




その辺りは祖父そっくりで、

今でも友人と呼べる男子はほとんど居ない。



まぁ、付き合いの悪さはカフェを1人でしなくちゃならないから、
同年代の友人と騒ぐ余裕もなかったのだけど。






『痛っ!』

果物ナイフで指先を切ってしまった。



絆創膏を貼る。

赤い血が滲む。



氷月は指先を見つめ、

(それでも離したくないんだ…………)

と改めて想う。







_________________

『雫石っ!
ほい、昼ご飯とデザート』

地下室に向かってトレーを入れた。


『はぁい』

梯子を登り、雫石が受け止る。



『アップルパイだ~』
くぐもった声が響く。



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