この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
無意味なPKを持つJKの話
第12章 春が来る
久しぶりだからか、見慣れない服装だからか、なんだか違う人みたいだ。
そんな小川が、無言で手にあった紙袋を差し出す。
「え、なに?」
そこそこ大きな紙袋が、なんだか丸みを帯びて膨らんでいて、ずっしりと重そうだ。
「これ、やる」
「...ありがと」
目の前までぐいっと差しだされたその袋を受け取ると、やはり重い。
「母ちゃんが、持ってけって」
「え、あ。そうなんだ」
小川からの合格祝いとかでは無さそうだ。
いや、別にお祝いが欲しい訳じゃないけど。
紙袋をちらりと覗くと何やら黄色だったりオレンジ色の丸い果物らしきものが見える。
「...じゃ」
「え?あ、うん」
自転車に乗る小川を引き止める理由なんてない。
第一、玄関の中から母親がこっそりこちらを伺っているのがわかるし。
部屋に通すなんてこと、できそうにもないし。
通したって、ナニをするわけでもないし。
だけどなんか、このまま帰しちゃ行けない気がした。
もう2度と会えないような。
「あの!」
「...何」
足をかけた自転車を止めて、小川が振り返る。
「...その、ありがと」
「おぅ。またな」
にっと笑った小川は、いつもの様子で。
颯爽と自転車を漕いで、暗闇に消えて行った。
また会えるよね?
もうほとんどが自由登校だけど。
まだ卒業式だってあるし。
クラスの打ち上げだってある。
クラスの打ち上げは、行くつもりにしてなかったけど。
小川に会えるなら行かなきゃかもしれない。
暗闇をしばらく見つめてから、今度は大きく紙袋を広げ、中を覗く。
大小様々なミカン系が入っていて。
ほとんどが、普通のミカンで。
何個か大きいのもある。
1個だけひときわ大きくて黄色いのは、文旦だろうか。
小さなメモが横に滑っていたようだ。
「合格おめでとう」
そう書いたのは、きっと小川だ。
「何もらったの?」
いつの間にか母親が出てきていて、驚く。
「あ、みかん?合格祝いだって」
「へー」
母親の顔がにやにやしてそうで、なんだか嫌だ。
「はい」
重い紙袋を押し付けた。
「うわー。重いわね」
「彼氏じゃないから」
悔しいけど。本当のことだ。
「え?そうなの?」
「ただのクラスメイト」
そう言い残して明子は自分の部屋に駆け上がった。
そんな小川が、無言で手にあった紙袋を差し出す。
「え、なに?」
そこそこ大きな紙袋が、なんだか丸みを帯びて膨らんでいて、ずっしりと重そうだ。
「これ、やる」
「...ありがと」
目の前までぐいっと差しだされたその袋を受け取ると、やはり重い。
「母ちゃんが、持ってけって」
「え、あ。そうなんだ」
小川からの合格祝いとかでは無さそうだ。
いや、別にお祝いが欲しい訳じゃないけど。
紙袋をちらりと覗くと何やら黄色だったりオレンジ色の丸い果物らしきものが見える。
「...じゃ」
「え?あ、うん」
自転車に乗る小川を引き止める理由なんてない。
第一、玄関の中から母親がこっそりこちらを伺っているのがわかるし。
部屋に通すなんてこと、できそうにもないし。
通したって、ナニをするわけでもないし。
だけどなんか、このまま帰しちゃ行けない気がした。
もう2度と会えないような。
「あの!」
「...何」
足をかけた自転車を止めて、小川が振り返る。
「...その、ありがと」
「おぅ。またな」
にっと笑った小川は、いつもの様子で。
颯爽と自転車を漕いで、暗闇に消えて行った。
また会えるよね?
もうほとんどが自由登校だけど。
まだ卒業式だってあるし。
クラスの打ち上げだってある。
クラスの打ち上げは、行くつもりにしてなかったけど。
小川に会えるなら行かなきゃかもしれない。
暗闇をしばらく見つめてから、今度は大きく紙袋を広げ、中を覗く。
大小様々なミカン系が入っていて。
ほとんどが、普通のミカンで。
何個か大きいのもある。
1個だけひときわ大きくて黄色いのは、文旦だろうか。
小さなメモが横に滑っていたようだ。
「合格おめでとう」
そう書いたのは、きっと小川だ。
「何もらったの?」
いつの間にか母親が出てきていて、驚く。
「あ、みかん?合格祝いだって」
「へー」
母親の顔がにやにやしてそうで、なんだか嫌だ。
「はい」
重い紙袋を押し付けた。
「うわー。重いわね」
「彼氏じゃないから」
悔しいけど。本当のことだ。
「え?そうなの?」
「ただのクラスメイト」
そう言い残して明子は自分の部屋に駆け上がった。