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無意味なPKを持つJKの話
第12章 春が来る
小川が気にしてるのは、チカラのことだ。
そういえば、あれからスッカリ忘れていた。

「...してない」

「ふーん」

ごきゅっごきゅっとコーラを飲む音だけが部屋に響く。

「小川は?どうしてた?バイト三昧??」

何か話をしなくてはと、そんなことを聞いてみる。

「まぁな」

「じゃ、もう相当溜まったんじゃない?どのバイク買うの?」

机の上には、バイク雑誌が置いてあって、付箋が付いてたり、折り曲げられてたりしている。
それを勝手にパラパラめくった。

「いや。当分はじーちゃんのカブ借りる」

「へー」

聞いときながら、バイクのことはサッパリ分からない。
この雑誌も、こちゃこちゃといっばい写真が並んでいて、全然アタマに入ってこない。

だけど、なんだか小川の方が見えなくて。
雑誌から目が離せない。

「免許は?もう取ったの?」

「今通ってる」

「ふーん」

どうしよう、どう切り出そう。
今までって、どうしてたんだっけ?
イキナリ襲いかかる?

めくり終えた雑誌を、今度は反対にめくっていく。

分かったことは、バイクって結構な値段がするんだ、ってことぐらいだ。

どうしよう。
間が持たない。

小川が急に立ち上がって、ビクッとする。

そんな明子には、お構いなく小川は、ベッドに登り、カーテンを閉めた。

まだ夕方と呼ぶには明るい部屋が遮られる。
とはいっても、青い薄いカーテンで、あまり暗くはならない。

「来いよ」

短くて素っ気ないそんな言葉に、心臓が飛び出そうだ。

返事をしようにも声が出なくて、俯いたままそっと膝を立てた。
明子の座っていた位置からさほど距離がないので、膝立ちしたら、小川がすぐ近くだ。

腕が掴まれて、ベッドに引き上げられる。

小川って、こんな積極的だったっけ。
心臓がバクバクしてて、そしてそれが小川に伝わりそうで怖い。

「なんだよ、ヤリに来たんだろ?」

「...そうだよ?」

小川の投げやりな問いかけに、つい強く言い返してしまう。
最後ぐらいは素直になりたいのに。

気まずくて、明子は自分から小川の唇に勢いよく吸い付く。
小川の上に体を重ねるようにして、押し倒す。

態度とは真逆に、小川が優しく反応し、明子の頭を引き寄せる。

「髪、切ったんだな...」

切ったばかりの髪を、小川が優しく撫でる。
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