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無意味なPKを持つJKの話
第3章 カンがピンと
その日、自転車置き場に差し掛かった時、いつもなら誰もいないハズの時間に、1人の男子生徒が自転車に跨って誰かを待っている風だった。


目が合うのを、慌ててそらす。

確か、会話した事はナイが、クラスメイトな気がした。


クラスメイトだからといって、挨拶するつもりはない。

向こうもこちらに気づいたようだが、
完璧無視を決め込んで、自分の自転車に近寄る。


「岡本」


自転車に鍵を差し込んていて、名前を呼ばれた。


「岡本だろ。岡本明子」


岡本明子(おかもとあきこ)。


それは、私の名前だ。


「...そうだけど。何」


愛の告白でないのは明らかだ。

話したこともなければ、男子生徒の名前も分からない。


ただ。
明子ほどではないが、クラスで少し浮いたように、誰かとつるむでもなく、静かに1人でいる。

そんな生徒だった気はする。


背は平均より、若干高め。
少し色黒で、一重瞼のすっとした顔立ちだが、まゆ毛が究極にダサい。
恐らく自分でカットしているのだろうが、変に剃っていて。
眉山が高く眉尻がありえないぐらい細い。
つまりはかるーくやんちゃな、典型的な田舎のイモにーちゃんだ。
それに坊主頭を放ったらかしにして伸ばしたような、オシャレに無頓着そうな髪型が不釣り合いだ。

それらを少しいじれば、きっと素材は悪くは無いのだろうけど。


そんな事を考えていたのに気づいて、急いで自転車のスタンドを外し、自転車をバックさせる。


今までクラスメイトに声をかけられたことも、名前を呼ばれたこともない。

このクラスメイトの男子が、私の名前を知ってることが驚きだ。


自転車をその場所から出して帰りたいのに、その男子の乗った自転車がいつの間にか近づいて邪魔をする。

「ちょっと!」

「お前だろ」

そう言われて、ドキリとする。

まさか!...まさか、ね。

「...はぁ?何のこと?」

すっとぼけるしかない。

「ってゆーか、アンタ誰?何なの??」

鬱陶しいし、何より逃げ出したい。
ここはキレて、怒ってウヤムヤにしたい。

「俺は小川和輝(おがわかずき)。岡本、あんたと同じクラスなんだけど」
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