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無意味なPKを持つJKの話
第5章 コピー
教室の全ての視線が、こちらに注がれている。
皆時が止まったかのように固まって、動き出せないといったカンジだ。

明子もあまりの迫力に言葉が出てこない。

「...なワケねーよな」

小川の顔に一気に落胆の色が浮かぶ。

それから、自分が明子の肩を掴んでいることに気づいた。

「悪い...。その、...人違い、だな」

「...そう」

何と言っていいかわからない上に、迫力負けして声にならない。

その言葉を聞く前に、小川はすごすごと自分の席に行く。
次第に静まり返っていた周囲がヒソヒソとしだした。

ただの人違いではない気がして、でも小川に聞くような雰囲気では決してなくて。

それでももやもやとして、どうしたものかと思っていると、担任が教室にやってきてHRが始まってしまう。

そのまま1時間目も始まって。
背中に視線を感じながら、いつも以上に居心地の悪い授業が始まった。


朝の一連の騒動を頭で反芻して考える。

髪型が、その“ユイ”って人に似ているということだろうか。

恐らく、このクラスには居ない。
居たら間違えないだろうし。

小川の為?とか聞かれたぐらいだし、小川が大声で呼び掛けるほど間違えたぐらいだ。
小川の彼女ー、か。
もしくは好きな子か、が“ユイ”で。
その子が、こんな髪型なのだろう。

呼び捨てするぐらいだ、彼女に違いない。


彼女、いたんだ。


ここ1ヶ月ほど、毎日のように特訓していたから、てっきり彼女なんて居ないと思い込んでいた。

彼女と自分が同じ髪型とか。

なんだそれ。

キモイキモイ。


やっぱりショートカットにしとけばよかった。

あんなに昨日は気に入っていた髪型が、急に嫌になる。

すぐにでもカットしたいところだが、昨日のだって飛び込みで。
お小遣いギリギリだ。

前借り。。。できるような親じゃないし。
おばーちゃんにでもお願いしようか。


休憩時間になると、聞きつけてきたのか、ほかのクラスからも見物人がやってきて。

教室にいるのが嫌になって、授業が始まるギリギリまで人のいないようなところに行くことにした。


なんでこんなメに...。

教室からさほど遠くもない、階段の最上部に隠れて座る。
普段は鍵がかかった屋上へ続くこの場所には誰も来ない。

短い休憩時間に来ることはあまりないが、弁当をいつも食べている場所だ。
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