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無意味なPKを持つJKの話
第6章 ユイ
「えっと、HR始まるから、手短に話すね」

そう言って、シオリはユイのことを話し始めた。


ユイと5人は中学時代から仲が良かったこと。

小川も同じ中学で。

ユイと小川は家が近く幼馴染で。

中学時代から付き合っているような関係で。

高校入って、正式に付き合うようになった。

2人の事をヤキモキして応援していた、シオリたちは自分のことのように喜んだ。


それが。

高校一年生の夏、ユイは交通事故に巻き込まれる。

家族で出掛けた、高速道路での玉突き事故で。
ファミリータイプのワンボックスの最後尾に、横になって眠っていたユイは、後ろから突っ込んできた大型トラックに無残にも押しつぶされ亡くなった。
トラックに挟まれ、車の中長さが半分以下になるほどの衝突だった。
同乗していた他の家族もかなりの重体で。

皆が参列できるようなお葬式が出来たのは、随分後になって秋も深まった頃だった。

当然、遺体はもう火葬を済ませていて。
祭壇に遺影があるだけだった。

「だから、私たち、未だに信じられなくて」

遺体と対面してないからだろうか。
あまりにも唐突な出来事だったからだろうか。
もうユイと会えないというのが、実感が沸かない。

それは、付き合い始めたばかりの小川も同じようだった。

嫌、それ以上だったろう。



明子は想像だにしていなかった内容に何も言えず、ただシオリが話す言葉に耳を傾けるだけだ。

「岡本さんの後ろ姿、ほんとにユイに似てるの。ビックリするぐらい」

昨日の朝、小川も間違えたぐらいだ。
相当似ているのだろう。

「きっと、髪が長くても似てたんだろうけど。同じ髪型にして、余計。ね」


明子はその言葉を聞いて、ピンと来るものがあった。


そうだ。間違いない。

小川が明子のチカラに気づいたのは、


『ずっと見てたから』。


どこかユイの面影のある明子の背中を、無意識に見ていたのだろう。

そして、ユイを想ってた...???



明子が言葉を何か発しようとした途端、まるではかったかのようにHRのチャイムが鳴る。

「ごめんね。呼び出して。戻ろ」

走り出すシオリの後を、明子も追いかけた。
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