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無意味なPKを持つJKの話
第7章 小川の家
強にした扇風機に思いっきり顔を近づけていたので、足音に気づかなかった。
入口のドアに向けて背中を向けていたのもあったかもしれない。
廊下から部屋に入ろうとする小川の気配に動揺を感じて振り返る。
目が合うと、はっとした顔が見えた気がした。

「ほら。お前も腹減ってんだろ。食えば」

テーブルに皿が置かれる。
置いたと同時に、小川が1つ取って口に運んでいる。

かなり大ぶりの3角おにぎりに海苔がついてる。
全部で7つほどもあって、結構な量だ。
握りたてなのか、ほかほかなのが見て取れる。

「小川が握ったの?」

「わりーかよ」

そう聞いたのは、明子が3角おむすびが握れないからだ。
自分と同じように大概の高校生、特に男子は、握れないと思っていた。
だっておむすびは、コンビニで買うものだから。

ぶすっとした小川に慌てて首を振り、おむすびに手を伸ばした。
よく見ると微妙に形が違って、どれにしようか。
中の具は何だろう。

「...具は?」

「は?何も入ってねーよ。嫌なら食うな」

小川が引こうとする皿から、急いで1つ取った。

「食べるわよ!」

「はぁ?」

じろりと睨まれて、慌てて言い直す。

「あ、えっと。いただきます。ご馳走になります」

「うむ。苦しうない」

皿が中心に戻され、2人でおむすびに食らいつく。

塩が効いたおむすびは、具がなくても充分美味しかった。
時間的にもお腹が空いていたようで、大きいし多いなと思っていたが結局3つも食べた。
コンビニおむすびなら、2つも食べたらお腹いっぱいなのに。

ふと気づく。
誰かと一緒にご飯を食べたのは久し振りだ。

家では、半身が不自由なじーちゃんと、半分ボケたばーちゃんがいて。
田舎に帰ってきてからは、両親とも喧嘩しっぱなしで、ほとんど口をきいてない。
そんな家族と一緒にご飯を食べるのが苦痛で。
朝ごはんは、いらないと家を出て。
昼は、階段の最上部で1人こそっと弁当やパンを食べて。
夜は、また皆で食べるのが嫌で、食べ終わった頃帰って1人で食べる。
休みの日もなんだかんだと理由をつけて、家族とご飯を食べるのを避けてきた。

ここ数ヶ月そんな生活だ。

だから今、なにか会話をする訳でもなく、黙々とおむすびを食べただけだが、なんだか胸が暖かい。

「ごちそうさま。美味しかった」

お世辞じゃなく、素直にそう思った。
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