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無意味なPKを持つJKの話
第7章 小川の家
明子は、今の状況を何一つ望んでない。
田舎に無理やり連れ帰られ。
田んぼの真ん中にあるような田舎の高校に、自転車で45分もかけて通わされるし。
校則が厳しくて、変なレインコートは着さされるし。
メイクだって、スカートだっていじれない。
街にはスタバもない、こじゃれたカフェも。
服を買うような店も、雑貨店だって。
小川が黙って聞いてるのをいいことに、思う限りのこの街の悪口を言いあげる。
この街では、それまで明子が常識だと思っていた日々の生活が、全く送れない。
そんな中でどうやって、日々の生活を楽しめというのだ。
丸っきり生活が変わってしまって、楽しめることなんて出来ない。
「この気持ち、小川にはわかんないよ!」
「わかるよ」
それまで黙って聞いていた小川だったが、静かにそう言い放った。
「常識だと思ってた。俺だって」
悲しそうにそう言った意味が、数テンポ遅れて明子の胸に響く。
そうだ。
小川は、体験している。
“当たり前だと思っていた日常”が、
突然奪われる出来事に。
頭に昇っていた血が、一気に冷めてゆくのがわかる。
その血が心臓に集まって、その鼓動を早める。
「聞いたんだろ」
怒っているのとも、悲しんでいるのとも、冷めているのでも違う、何とも表現し難い瞳がすっとこちらを見据えている。
言い逃れは出来そうにない。
「....え。あ、...うん」
さっきまでベラベラと喋っていたのに、一向に言葉が出てこない。
吹き出した汗がじっとりと体にまとわりつくようで、動くのもままならない。
こちらを見ていた小川が、ふっと視線を外す。
「だろうな。...どうせ、園山辺りだろ」
聞いたのは、“シオリ”とよばれる女子だ。苗字はわからない。
でも同一人物な気がした。
「ごめん...」
謝るつもりなどなかったのに、口からその言葉がこぼれ落ちた。
「別に。ウチの学校のやつらは皆知ってるし。隠してた訳じゃないから」
残っていたコーラを飲み切った。
明子はその動きをただ見つめるだけで、何も言葉が出てこない。
「なんか...ブリがついたな」
小川が呟いた意味が分からなくて、余計な汗がまた吹き出す。
「腹減らね?あれじゃ足りないよな」
どうやらおむすびのことを言っていると分かった時には、小川は立ち上がり廊下に向かっていた。
田舎に無理やり連れ帰られ。
田んぼの真ん中にあるような田舎の高校に、自転車で45分もかけて通わされるし。
校則が厳しくて、変なレインコートは着さされるし。
メイクだって、スカートだっていじれない。
街にはスタバもない、こじゃれたカフェも。
服を買うような店も、雑貨店だって。
小川が黙って聞いてるのをいいことに、思う限りのこの街の悪口を言いあげる。
この街では、それまで明子が常識だと思っていた日々の生活が、全く送れない。
そんな中でどうやって、日々の生活を楽しめというのだ。
丸っきり生活が変わってしまって、楽しめることなんて出来ない。
「この気持ち、小川にはわかんないよ!」
「わかるよ」
それまで黙って聞いていた小川だったが、静かにそう言い放った。
「常識だと思ってた。俺だって」
悲しそうにそう言った意味が、数テンポ遅れて明子の胸に響く。
そうだ。
小川は、体験している。
“当たり前だと思っていた日常”が、
突然奪われる出来事に。
頭に昇っていた血が、一気に冷めてゆくのがわかる。
その血が心臓に集まって、その鼓動を早める。
「聞いたんだろ」
怒っているのとも、悲しんでいるのとも、冷めているのでも違う、何とも表現し難い瞳がすっとこちらを見据えている。
言い逃れは出来そうにない。
「....え。あ、...うん」
さっきまでベラベラと喋っていたのに、一向に言葉が出てこない。
吹き出した汗がじっとりと体にまとわりつくようで、動くのもままならない。
こちらを見ていた小川が、ふっと視線を外す。
「だろうな。...どうせ、園山辺りだろ」
聞いたのは、“シオリ”とよばれる女子だ。苗字はわからない。
でも同一人物な気がした。
「ごめん...」
謝るつもりなどなかったのに、口からその言葉がこぼれ落ちた。
「別に。ウチの学校のやつらは皆知ってるし。隠してた訳じゃないから」
残っていたコーラを飲み切った。
明子はその動きをただ見つめるだけで、何も言葉が出てこない。
「なんか...ブリがついたな」
小川が呟いた意味が分からなくて、余計な汗がまた吹き出す。
「腹減らね?あれじゃ足りないよな」
どうやらおむすびのことを言っていると分かった時には、小川は立ち上がり廊下に向かっていた。