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無意味なPKを持つJKの話
第9章 友達以上、セフレ未満
終わった後が、いつも以上に気まずい。

いつもだってそんな会話をする訳じゃないけど。

「なぁ...」

うつ伏せて顔を反対に向けたままではあったが、小川が珍しく話しかけてきた。

ブラを拾い上げる手を止めて、聞き間違いかとその背中をみる。

こんな時にする会話なんて、ロクなモノじゃない気がする。

言いにくそうに大きくため息をついてから、そのままの姿勢で小川が続ける。

「...もうさ、来ないほうが...」

「ヤダ」

自分が何か思う前に、その言葉が口から飛び出した。

いつの間にか小川から視線を外し、古びた色をした押入れを見つめている。

「...でも、俺。...岡本のこと、り...」

「違うし!それは違う!」

“利用してる”なんて、聞きたくない。

実際そうだとは思うけど、小川の口から聞いてしまったら本当にオシマイな気がした。

「利用してるとしたら、それは私のほうなんだから」

勉強を教えて貰って、居心地の悪い家からの逃げ場になってくれて。
それに。それに...。

「だから、ここに来れなくなったら困る」

「...そうかもだけど」

「“全てのことに意味はある”んでしょ?」

いつか河原で小川が言っていたセリフだ。

無意味にしか思えないちっぽけなチカラだけど、気づいてくれた。
特訓に付き合ってくれて、喜び、励ましてもくれた。

田舎にムリヤリのように来たのも。

小川に出会ったのも。

全てに意味があるんだと。
 
だから。

「こうなってしまったのも、意味がある。きっと。...でしょ?」

「...」

小川は相変わらず向こうを向いていて、その表情は全く分からない。

この2週間、小川はそれを思って連絡してこなかったのだろうか。

「今さら、何気にしてんの?今までみたいに、お互い楽しめればいいじゃん?」

小川の背中に身体を寄せて、ことさら明るく言い放つ。

そう。私は、こういう軽いオンナなのよ。

だから、利用でも何でもして。

ユイの代わりでもいい。

いや、ユイの代わりがしたい。


だから、そばに居させて。


胸を押し付けるように、ぎゅううっと抱きつく。

まだ小川はなにも言わない。

少し動揺してはいるものの、迷っているのが、身体を通してよく分かる。

この苦しい空気、早く取り去りたい。

何て言えば...。

「私、好きなの...」
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