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無意味なPKを持つJKの話
第10章 呪縛
そこには、推薦試験の手続きの話とかで、担任に呼ばれていて遅くなるとあった。

だけど、家に来るなと書いていたわけじゃない。

明子は、小川の家に向かった。


誰も家に居なかったらどうしようと思ったが、これから夜勤に出掛けるところだったという小川の母親がすんなりと部屋に通してくれた。

明子と一緒で、息子から遅くなると連絡を受けているっぽかった。

テーブルに勉強道具をめいっぱい広げる。

小川ほどではないが、明子の試験ももうすぐだ。

1時間ほど真面目に勉強していると、聞きなれた車の音がした。
小川の母親が出かけたのだろう。

ふと外を見ると、すっかり暗くなっていて。
少し開いていた窓から、すっかり冷たくなった風が入ってくる。

ベッドに登って窓を閉め、カーテンも閉める。

そのままベッドに横になった。

掛け布団が冬仕様のゴツイものに変わっていて、すごく気持ちがいい。
ふかふかで、いい匂いがする。

小川の匂い。

頭まですっぽり被って、その匂いに包まれる。

すごく心地いい。

このベッドに幾度と無く横になったが、こんな風にして眠ったことはなかった。

そのまま明子は眠りについてしまった。


とのくらい経ったのか、小川に起こされる。

「爆睡かよ」

「んー」

まだ深い眠りから、体が起きない。
もう少し、眠っていたい。

「まだ寝る...」

「起きろって。いい時間だぞ」

そう言いながら、明子が広げた勉強道具の前に座って覗き込んでいる。
苦手な数学が途中で止まったままだ。

「あ、ここ違ってる。前にも言ったじゃん。ここはー」

小川は文系クラスだというのに、数学が得意で教えるのも上手い。

楽しそうに説明を始めた小川を、ベッドの中から見つめる。

「な、聞いてんの?」

少しむすっとした声がした。

「だって、まだ眠くてー。それにさぁー」

「ああ、コーラね。はいはい」

座っていた小川が、面倒くさそうに立ち上がる。

ベッドの中から少しだけ手を伸ばして、小川の制服をぐつと掴む。

「ちょっ、あぶな」

立ち上がりよろけかけた小川が、ベッドにぐんっと近づく。

「ね、シよ?」

いつもは、なんとなく始まることが多くて。
こんな言葉にして誘ったことなんてナイと思う。
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