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第6章 寝物語【陽炎】
「嫌だよ気味が悪い!」

眉を顰めたるいに笑いながら、

「本モンじゃねぇよ。兎の皮でこしらえた紛いモンだ。」

「なんだ、びっくりさせないでよ」

るいはほっと胸をなで下ろす。

「仕事で使ったんだがもう用は済んだからな。サヨにやったら喜ぶかと思ってよ。」

「そんなモン喜ぶかしら」

「さぁな」

そこに、豆腐と納豆の鉢を抱えて帰ってきたサヨが、

「開けてぇ!」

と叫んだ。

るいが戸を開け、豆腐の入ったザルを受け取る。

「ありがとう。納豆練っちゃって」

サヨは納豆を箸でかき混ぜ、醤油を垂らしながら粘りを出す。

るいは豆腐を小鉢に切り分け、ネギと生姜を乗せて手際よく膳に並べた。炊きたての飯に味噌汁と納豆、冷奴。

「さ、熱いうちに食べようか⁉︎」

いつもの朝の食卓だった。
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