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another storys
第6章 寝物語【陽炎】
サヨは夜、るいの料理屋も手伝う。
鷺は小石川から戻ると店で、飯を食い、サヨを連れて一緒に裏手の家に帰る。
るいが店で沸かした湯を持ってきて盥に張ると、サヨはそれをいい塩梅まで水で温め、鷺はその湯で身を拭いて清めた。
るいとサヨは仕込みに入る前に湯屋に行く。
サヨはそうでもないが、るいは帰ってくると油や酒のにおいが染み付いているから一度湯で身を拭いてから寝るのが常だった。
サヨは相当気に入ったと見えて、湯屋に行くときのほかは猫の耳をつけたまま過ごし、近所のおかみさんからも可愛い猫娘だ、と言われては満足げだった。
夜、いつものように店に出たサヨをを見て、客のひとりが笑う。
「お?サヨ坊は今日は猫娘かい?」
サヨは調子を合わせて顔の横で手を握り、
「にゃーぉ」
と言った。
「可愛い招き猫だなおい。縁起がいいや、銚子一本つけてくれな」
「はーい。母ちゃん、お銚子一本!」
「はいよ!」
鷺は小石川から戻ると店で、飯を食い、サヨを連れて一緒に裏手の家に帰る。
るいが店で沸かした湯を持ってきて盥に張ると、サヨはそれをいい塩梅まで水で温め、鷺はその湯で身を拭いて清めた。
るいとサヨは仕込みに入る前に湯屋に行く。
サヨはそうでもないが、るいは帰ってくると油や酒のにおいが染み付いているから一度湯で身を拭いてから寝るのが常だった。
サヨは相当気に入ったと見えて、湯屋に行くときのほかは猫の耳をつけたまま過ごし、近所のおかみさんからも可愛い猫娘だ、と言われては満足げだった。
夜、いつものように店に出たサヨをを見て、客のひとりが笑う。
「お?サヨ坊は今日は猫娘かい?」
サヨは調子を合わせて顔の横で手を握り、
「にゃーぉ」
と言った。
「可愛い招き猫だなおい。縁起がいいや、銚子一本つけてくれな」
「はーい。母ちゃん、お銚子一本!」
「はいよ!」