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another storys
第6章 寝物語【陽炎】
「ヒトってなぁよぅ、欠けやら傷で値打ちが無くなる玉(ギョク)とは違う。人それぞれ、傷も曇りも欠けもある。それがアジになンだ。
完璧な奴なんて何処にいる?
五体満足で完璧でございって面下げて生きてる奴だって、どっかしらに傷がある。それが外から見えるか見えねぇか。それだけの違いだ。
そんな奴らが何言ったって、気にするこたぁねぇ。胸張れ。地に足着けろ。てめぇの足で歩け!そうすりゃ見えるモンもあらぁ。…ってコレは父ちゃんが世話んなったヒトが昔言った言葉だがな。…サヨにはちと難しかったかな…?」

サヨは、その言葉の全てが理解出来た訳ではなかったが、それでも、母の顔と身体の痘痕も、人は憐れんだ目で見るが、それは、恥じることではないのだと言うことは判った。

サヨは鷺の膝に頭を置き、甘えたまま眠りに落ちた。
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