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another storys
第8章 筒井筒【陽炎】
実家からもそう遠くなく、奉公先に居ても使いやなにやで両親や見知った顔の暮らし振りは伺えるから、特に寂しいと思った事もなかったが、それでも年に二回、藪入りで家に帰れるのは嬉しかった。
それまでは藪入りの時に主からもらう小遣い程度の心付けだけを持ち帰っていたが、手代になってからは給金が貰えた。
その上に毎度変わらず主からの心付けを貰い、懐が温かくなるのは素直に 嬉しい。
小石川に移り住んだのは八歳の頃だった。
近くに養生所の看板を上げた萬屋があり、そこには足の悪い兵衛という男と、目の見えぬ鷺、という男が居り、父は偶にその商売の手伝いをしていた。
昔の仲間だということだったが、何の仲間かは知らない。
それまでは藪入りの時に主からもらう小遣い程度の心付けだけを持ち帰っていたが、手代になってからは給金が貰えた。
その上に毎度変わらず主からの心付けを貰い、懐が温かくなるのは素直に 嬉しい。
小石川に移り住んだのは八歳の頃だった。
近くに養生所の看板を上げた萬屋があり、そこには足の悪い兵衛という男と、目の見えぬ鷺、という男が居り、父は偶にその商売の手伝いをしていた。
昔の仲間だということだったが、何の仲間かは知らない。