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another storys
第8章 筒井筒【陽炎】
多くの奉公人の中には、偉いと褒める者、度を知らぬと呆れる者がいた。
そして中には些額の使途不明金には目を瞑る、という丼勘定を良いことに、売掛金を袂に納める不届き者も居り、そういった経験を持つ者や、給金の分だけ目立たぬように日々を過ごし、余計な事はしたくない、というものぐさな者も居たので、そういった不真面目な者からしてみれば目の上の瘤でもあった。

だが、当の市八はそんな事は気にしない。

嫌なら真面目に仕えればいいだけのこと。結果を出せば給金とてあげて貰える。
真面目に仕える事が出来ぬなら店を去れば良い。
その姿勢を崩さぬ市八を、主への胡麻摺りが上手いのだ、とやっかむ者も少なくなかった。
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