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another storys
第8章 筒井筒【陽炎】
「何がいい?櫛か、こうがい(かんざし)か?」
「あたしね、お芝居が観たいの!」
「芝居?何の?」
「今ね、『陽炎』がかかってるんだよ⁉︎」
陽炎は、江戸でも人気の芝居演目で、二人が生まれる前から何度も役者を変えては上演されている。
昔、江戸に居た神出鬼没の盗賊、市九郎とその一味を称して『陽炎』と呼ぶのだ。
「陽炎って、アレだろ、泥棒の話だろ?俺はあんまり好きじゃねぇなぁ…」
「あら、陽炎はただの泥棒と違うのよ?すっごくカッコいいんだから!それにね、市九郎を新三郎が、相方の白を松屋 雪之丞が演るのよ!」
市九郎という稀代の盗賊と、その脇を固める白(シロ)と朱(アケ)という忍がおり、殊にその白という女忍は世にも美しい、という設定だった。対して朱は、寡黙で顔に傷があり、覆面で顔を隠している。
「あたしね、お芝居が観たいの!」
「芝居?何の?」
「今ね、『陽炎』がかかってるんだよ⁉︎」
陽炎は、江戸でも人気の芝居演目で、二人が生まれる前から何度も役者を変えては上演されている。
昔、江戸に居た神出鬼没の盗賊、市九郎とその一味を称して『陽炎』と呼ぶのだ。
「陽炎って、アレだろ、泥棒の話だろ?俺はあんまり好きじゃねぇなぁ…」
「あら、陽炎はただの泥棒と違うのよ?すっごくカッコいいんだから!それにね、市九郎を新三郎が、相方の白を松屋 雪之丞が演るのよ!」
市九郎という稀代の盗賊と、その脇を固める白(シロ)と朱(アケ)という忍がおり、殊にその白という女忍は世にも美しい、という設定だった。対して朱は、寡黙で顔に傷があり、覆面で顔を隠している。