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第11章 約束【陽炎】
夜、鷺は何時ものように店で飯を食い、先に家に戻る。

店を仕舞ってからるいとサヨは家に帰り、サヨは直ぐに布団に入った。

るいは鷺の隣の布団に入り、サヨの寝息を聞きながら、鷺に話しかける。

「….もう、寝た?」

「何だよ」

鷺は眠ってはいなかった。

「…サヨの事なんだけど…昨日…」

「男といたって話か。」

「誰かに聞いたの?」

「いや?」

「じゃ、なんで知ってんの?」

「俺昨日は家に居たからな。昨日アイツが帰ってきた時、男のにおいがした。情を交わした匂いッてのはなかなか取れねぇモンさ。相手が誰かは知らねぇがよ。あぁ、サヨも、もうそんな歳になっちまったんだなぁって、妙に寂しくてな。」

「その相手なんだけど…」

「聞いたのか?」

「…昨日は、市八が薮入りだったろう…」

「市八か!」

鷺は何か考える仕草をし、はぁっと溜息をついてごろりと背を向けた。
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