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第11章 約束【陽炎】
「そ、それはもちろん!」

「そうか…男に二言はねぇだろうな?」

「はい!」

「生涯、サヨだけだって誓うか?」

「はい!」

「その言葉が聞きたかったんだ。市八よ、ちとこっちに来い。おいちゃんにお前の顔触らしてくれな。お前、今どんな顔になってんだい?」

市八はいざって鷺のすぐ近くに行く。

鷺の手を取ると、鷺はそっと指先で市八の頬にふれた。

額、眉、目元、耳、鼻、唇、顎…

ひとつひとつ、確かめるように、優しく触れていく指先。
顔に触れながら鷺の盲いた目に涙が浮かぶ。

それはつぅっとひと筋頬に伝い。

「お前…父ちゃんにそっくりだなぁ…」

と呟いた。市八はその言葉に驚く。父に似ているとは、一度も言われたことがないし、自分でも思ったことがない。
素直にそう言うと、鷺は首を振り。

「いや…初めて会ったとき、こやってお前の父ちゃんの顔触らしてもらったんだ。今でも覚えてるよ…よッく似てらぁ…」


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