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第12章 Restart【Cross roads】

新しいパートナーと共に再出発を切ろうとしたが、どうやら相手は、彼女の人生を背負う覚悟までは仕切れていなかったようで、初めて感じる違和感。そして流産。
結局その男とは上手くいかずに別れ。
初めて、寡黙で、自分を顧みることのなかった夫が、どれだけ責任感が強く、強い意志を持って家族を護っていたか、甘い言葉で自分を満足させてくれた不倫相手に実がなかったか、という事に気付いたが、時既に遅し。
家族の元にも戻れず、実家に身を寄せて慣れない水商売で糊口をしのいでいる、という、身の上話だった。

男の立場からすれば余りに身勝手。
それなのに、なぜか憎めない。
それは、彼女が、充分悔いていることが感じられたから。きっと、大人になりきる前に、母親になり、人より遅い社会進出で、家庭では得られなかった女性としての評価を得たと、勘違いしてしまったことから始まった悲劇だ。旦那も不器用だったんだろう。