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another storys
第14章 蝶の見る夢【陽炎】
座敷に通したところで、すぐに床入りするわけではない。
まずは初会で人となりを見極めてから、床入りするのはその後だ。
昔は三回通って初めて馴染み、と言われたようだが、今はそれも二回に省かれている。
ただ、座敷で見て気に入らぬと思えば袖にできる。
客を選べる、というのは遊女にとっては大きな事だ。
客を選べぬ端女郎は病を感染されたり、腎張り(精力旺盛)の客で、痛いと泣いても堪忍してくれぬなど、客に関する悩みも多い。
売れずにお茶を引いてばかりも借金を返せずで困り者だが、売れたら売れたでややこしい。
妬み、嫉み、憎しみ、苦しみ。
吉原が明るく華やいだ場所に見えるのは、明るい所しか見ぬ客だけだ。
実際は、人の欲と暗い感情が渦巻くこの世の地獄。
中の人間が苦界と呼ぶのはその為だ。
まずは初会で人となりを見極めてから、床入りするのはその後だ。
昔は三回通って初めて馴染み、と言われたようだが、今はそれも二回に省かれている。
ただ、座敷で見て気に入らぬと思えば袖にできる。
客を選べる、というのは遊女にとっては大きな事だ。
客を選べぬ端女郎は病を感染されたり、腎張り(精力旺盛)の客で、痛いと泣いても堪忍してくれぬなど、客に関する悩みも多い。
売れずにお茶を引いてばかりも借金を返せずで困り者だが、売れたら売れたでややこしい。
妬み、嫉み、憎しみ、苦しみ。
吉原が明るく華やいだ場所に見えるのは、明るい所しか見ぬ客だけだ。
実際は、人の欲と暗い感情が渦巻くこの世の地獄。
中の人間が苦界と呼ぶのはその為だ。