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another storys
第17章 四方山話【潮騒】
「要らん」
「呑みなさいよ。」
「要らん!」
「日本酒と違ってビールは気が抜けるんやからね?明日もこれ呑むってわけに行かんのやから、ちゃんと飲んでよ勿体ない!」
菊乃の剣幕に正一郎は圧倒されたようで、黙り込む。少し考え、
「要らんっちゅうたら要らんのや!」
膳を蹴飛ばさんばかりの勢いで席を立った。
「なんやのあの人…」
鼻息荒く呟いた菊乃に、浩二郎がおずおずと切り出した。
「…菊乃さん、兄貴が酒呑ま れへんの、知らんのか…?」
へ…?
きょとんとした菊乃に、浩二郎がくすくす笑う。
「これは血やな。俺も弱いけど、兄貴も弱いんやで。俺は弱いけど、味は好きやからたまには呑みたいけど、兄貴は好きでもない。あれ以上呑ましたら吐くか倒れよるで。」
まさかの下戸。
浩二郎は弱いと言われても納得できるが、あの正一郎が下戸!
いかにも呑みそうな厳つい顔しとるくせに…下戸!!
菊乃は思わず噴き出したが、正一郎がどこで聞いているかわからぬので、大声で笑うのはなんとか堪えた。
「呑みなさいよ。」
「要らん!」
「日本酒と違ってビールは気が抜けるんやからね?明日もこれ呑むってわけに行かんのやから、ちゃんと飲んでよ勿体ない!」
菊乃の剣幕に正一郎は圧倒されたようで、黙り込む。少し考え、
「要らんっちゅうたら要らんのや!」
膳を蹴飛ばさんばかりの勢いで席を立った。
「なんやのあの人…」
鼻息荒く呟いた菊乃に、浩二郎がおずおずと切り出した。
「…菊乃さん、兄貴が酒呑ま れへんの、知らんのか…?」
へ…?
きょとんとした菊乃に、浩二郎がくすくす笑う。
「これは血やな。俺も弱いけど、兄貴も弱いんやで。俺は弱いけど、味は好きやからたまには呑みたいけど、兄貴は好きでもない。あれ以上呑ましたら吐くか倒れよるで。」
まさかの下戸。
浩二郎は弱いと言われても納得できるが、あの正一郎が下戸!
いかにも呑みそうな厳つい顔しとるくせに…下戸!!
菊乃は思わず噴き出したが、正一郎がどこで聞いているかわからぬので、大声で笑うのはなんとか堪えた。