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another storys
第17章 四方山話【潮騒】
「なんで…?」

独り者の親父は、後継者を探しているとばかり思っていた郁男は、その言葉に愕然とする。
如何に大切か、この仕事に誇りを持っているか、ずっとその話を聞いてきたからだ。その本人の口から、『こんなもん』という言葉が出たのが衝撃だった。

「この仕事はな、わしらの代で終わりや。あと数年、わしが引退しても、代わりのモンが来て何年か勤めるくらいでなくなるわ。時代が手動から自動に変わりよるんや。今はまだ手動で点けとるこの灯台も、坊主が大人になる頃には勝手に点くようんなる。そしたらわしらはお役ご免や。」

「俺、看守になりたいから、通信の学校行きたいって親父に言うたんや。そしたら親父も賛成してくれたのに」

「勉強するんは悪いことやない。行かせて貰えるんやったら行ったらええ。ただ、通信の勉強するんやったら、他にも選択肢はある。何にしても、灯台守りっちゅうのは先のある仕事やない。それだけは言うとくわ。」
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