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another storys
第17章 四方山話【潮騒】
結局、郁男は灯台の看守になるのは諦め、専門学校を卒業して、海上自衛隊に入隊する。そこで、定年するまで勤め上げた。
大阪の専門学校は、芦屋にある伯母のはつ江の家に居候して通った。
その頃、はつ江の家には色んな人が訪ねてきた。
よく来るのは、西宮に住んでいるおばさんだった。何回目かのお産が大層な難産で、それをはつ江が取り上げたのが縁だということだった。
旦那は会社を経営しているとかいうお金持ちで、そのおばさんを車で送り迎えしているのが、高校を卒業したばかりの長女だった。
はつ江の家に左ハンドルの外車で乗り付け、母親とはつ江が話している間、する事もなく縁側でぼんやりとしている。
高校を出たばかりで外車なんぞ生意気な、と思って一度そう言ったら、
「お父ちゃんがこんな車しか買わんからや。好きで乗ってるわけやない。」
とサラッと言ってのけた。田舎では終ぞ見たことがないタイプだった。
大阪の専門学校は、芦屋にある伯母のはつ江の家に居候して通った。
その頃、はつ江の家には色んな人が訪ねてきた。
よく来るのは、西宮に住んでいるおばさんだった。何回目かのお産が大層な難産で、それをはつ江が取り上げたのが縁だということだった。
旦那は会社を経営しているとかいうお金持ちで、そのおばさんを車で送り迎えしているのが、高校を卒業したばかりの長女だった。
はつ江の家に左ハンドルの外車で乗り付け、母親とはつ江が話している間、する事もなく縁側でぼんやりとしている。
高校を出たばかりで外車なんぞ生意気な、と思って一度そう言ったら、
「お父ちゃんがこんな車しか買わんからや。好きで乗ってるわけやない。」
とサラッと言ってのけた。田舎では終ぞ見たことがないタイプだった。