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第17章 四方山話【潮騒】
「なんや。」

大きな欠伸をしながら「うん!」と一つ伸びをする。
首を左右に振るとコキコキと骨の鳴る音がした。

「なんやて。縁談てどういうことよ。何考えてんの?」

「ちょっと…歩くか…」

さすがに気まずいと見え 、太一は顎を触りながらどこかへ向かって歩き出した。

人気のない田んぼの端まで二人で来ると、太一が土手に座る。
タツノもつられて横に腰を下ろした。
田植えを控えて田んぼには水が張られ、泥も落ち着いた水面に、アメンボが波紋を作るのをぼんやりと眺めた。

「ホンマにあんたが何考えてんのかさっぱりわからんわ。」

「何考えてって…好きな女を嫁に貰いたいっちゅうのがそないにおかしなことか?」

さすがに恥ずかしかったのか、ふいと顔をそむけてぼそりと呟く。
その答えに、タツノも顔が熱くなるのを感じた。
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