この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
another storys
第17章 四方山話【潮騒】
二十五になった年。
私に縁談が来た。お父ちゃんとお母ちゃんは、私が嫌なら断ると言うた。
私は、いつ迄も親の世話になっとるのが心苦しかったから、こんな私を貰うてくれるんなら、それでええと言うた。
ただ、縁付いてから話が違うと言われて返されんのは嫌やったから、家の事は出来るだけ頑張るけど、畑仕事やら海に潜るのは難しいと思う、ということと、子供ももしかしたら産まれんかもしれん、というのは言うといて貰うた。その相手はどんなモノ好きやら、 それでもええと言うてきた。
私は、それさえ呑んでくれるなら、こちらから言うことはない、と言うた。
夫になる人はちょっと歳上やったけど、優しそうな人やった。
名前は孝三(こうぞう)さんと言うた。孝三さんは、
「俺は三男やから継ぐ財産もない。守るもんもないから、子供には拘らん。学校に、雉の刺繍があるやろう。あんな見事な刺繍、見たことない。綺麗やと思うたんや。」
と笑った。
私に縁談が来た。お父ちゃんとお母ちゃんは、私が嫌なら断ると言うた。
私は、いつ迄も親の世話になっとるのが心苦しかったから、こんな私を貰うてくれるんなら、それでええと言うた。
ただ、縁付いてから話が違うと言われて返されんのは嫌やったから、家の事は出来るだけ頑張るけど、畑仕事やら海に潜るのは難しいと思う、ということと、子供ももしかしたら産まれんかもしれん、というのは言うといて貰うた。その相手はどんなモノ好きやら、 それでもええと言うてきた。
私は、それさえ呑んでくれるなら、こちらから言うことはない、と言うた。
夫になる人はちょっと歳上やったけど、優しそうな人やった。
名前は孝三(こうぞう)さんと言うた。孝三さんは、
「俺は三男やから継ぐ財産もない。守るもんもないから、子供には拘らん。学校に、雉の刺繍があるやろう。あんな見事な刺繍、見たことない。綺麗やと思うたんや。」
と笑った。