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another storys
第17章 四方山話【潮騒】
孝三さんは優しくて、嫁としては落第点の私をいつも支えてくれた。
菊乃は、エラいお姑さんに仕えて大変やというのに、うっとこはもうお姑さんも居らへん。孝三さんが長いこと結婚してなかったのも、病気のお母さんを独りで観てたからやった。
早よ結婚し、て周りから言われても、いくら嫁いうても、来ていきなり病人の世話は殺生や、と笑って相手にせなんだという。
お母さんを看取ってから、ようやっと結婚する決心を固めた、と言うた。
「おかげでこんな親父になってもうたわ。すまんな」
と笑う。私はその言葉に思わず涙がでた。
「私こそ、碌によう働かんのに、貰うてもろてありがとうございます」
「泣かんとって。俺病人の世話は慣れとんで。寝込んでもちゃんと見たるからよ」
菊乃は、エラい思いしとんのに。
はつ江姉ちゃんは、旦那を海の事故で亡くして、四人の子を育てる為に手に職付けるんやと、大阪に行ったのに。
私だけが、こんな幸せになってもええんやろうか…
菊乃は、エラいお姑さんに仕えて大変やというのに、うっとこはもうお姑さんも居らへん。孝三さんが長いこと結婚してなかったのも、病気のお母さんを独りで観てたからやった。
早よ結婚し、て周りから言われても、いくら嫁いうても、来ていきなり病人の世話は殺生や、と笑って相手にせなんだという。
お母さんを看取ってから、ようやっと結婚する決心を固めた、と言うた。
「おかげでこんな親父になってもうたわ。すまんな」
と笑う。私はその言葉に思わず涙がでた。
「私こそ、碌によう働かんのに、貰うてもろてありがとうございます」
「泣かんとって。俺病人の世話は慣れとんで。寝込んでもちゃんと見たるからよ」
菊乃は、エラい思いしとんのに。
はつ江姉ちゃんは、旦那を海の事故で亡くして、四人の子を育てる為に手に職付けるんやと、大阪に行ったのに。
私だけが、こんな幸せになってもええんやろうか…