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another storys
第17章 四方山話【潮騒】
一番嫌いやったんが、電車の事故。バラバラんなった肉片を拾い集めて回り、やれ目玉がないやの指はどこに行ったやのと、そりゃ大変な騒ぎで。それを食い散らかす野良犬を追っかけたこともある。
そんな仕事の後はしばらく飯が食われんかった。
一番楽しかったんは交通機動隊かな。白バイに乗って暴走族取り締まったり、駅伝の先導したりすんのは楽しかった。
兄貴は、大人になったからか、自衛隊で揉まれたせいか、我儘で嫌味なトコもいつの間にかなくなってて。
でも俺はいつまでたっても兄貴に負けたないって、意識が強かった。結婚して娘が生まれた時、結婚の遅かった兄貴にもちょうど長女が生まれて。
我が子可愛さと、兄貴に張り合う気持ちでついつい比べて自慢したら、姪っ子には嫌われてもうた。
ま、姪っ子が大人になる頃にはその蟠りも解けたけど。
結局、俺だけがひとり相撲しとったみたいで。それに気付いた時はちょっと悔しかったけど。大人になった姪っ子から、
「お父さんホンマに嫌なこともイヤって言われへんで、頼りにならんから、おじちゃんがおってくれてよかったわぁ」
と言われることもあって。事故で脚を傷めた兄貴の代わりに兄貴の嫁さんと助け合ってお母ちゃんの介護もやった。その時も、嫁さんからも姪っ子からもお母ちゃんからもありがとうありがとうと随分と感謝されて。
この勝負、俺の勝ちやで、兄貴。
俺はひとりでニヤっと笑った。
そんな仕事の後はしばらく飯が食われんかった。
一番楽しかったんは交通機動隊かな。白バイに乗って暴走族取り締まったり、駅伝の先導したりすんのは楽しかった。
兄貴は、大人になったからか、自衛隊で揉まれたせいか、我儘で嫌味なトコもいつの間にかなくなってて。
でも俺はいつまでたっても兄貴に負けたないって、意識が強かった。結婚して娘が生まれた時、結婚の遅かった兄貴にもちょうど長女が生まれて。
我が子可愛さと、兄貴に張り合う気持ちでついつい比べて自慢したら、姪っ子には嫌われてもうた。
ま、姪っ子が大人になる頃にはその蟠りも解けたけど。
結局、俺だけがひとり相撲しとったみたいで。それに気付いた時はちょっと悔しかったけど。大人になった姪っ子から、
「お父さんホンマに嫌なこともイヤって言われへんで、頼りにならんから、おじちゃんがおってくれてよかったわぁ」
と言われることもあって。事故で脚を傷めた兄貴の代わりに兄貴の嫁さんと助け合ってお母ちゃんの介護もやった。その時も、嫁さんからも姪っ子からもお母ちゃんからもありがとうありがとうと随分と感謝されて。
この勝負、俺の勝ちやで、兄貴。
俺はひとりでニヤっと笑った。