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第18章 彼岸花【陽炎】

るいの仕事は仕込も含めて八ツ(午後三時頃)から始まる。

午前中は家の中の事をし、午後から湯屋で汗を流して店に出る。

信吉は夕方には仕事を終え、湯屋で汗を流してから店に来て一杯ひっかけ、飯を食った。そして先に家に帰る。

るいは店が引けてから一人で帰る。
家に帰ると信吉が迎えてくれ、二人甘い時を過ごした。

朝は信吉より早く起き、朝飯の支度をしていると、信吉が伸びをしながら起きてきて、「いい匂いだなぁ」と笑う時もあれば、支度を終えて、「朝ご飯よ」と信吉を優しく揺すって起こすと、「まだ寝ようぜ、お前も一緒に」と布団に引っ張り込まれる時もあった。

湯屋から帰り、店に出る前、るいは毎日、両親の位牌に自分がいかに幸せかを報告した。

ずっと、こんな日が続くと、信じて疑わなかった…