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another storys
第18章 彼岸花【陽炎】

女将はるいを案じて、飯とおかずを幾つか持ってきてくれていた。
数日振りのまともな食事。
食べていると、また涙が込み上げる。
美味しい。
食べものが美味しい、と思えるのは、身体は生きたいと願っているということだ。
だが心は。
こんな姿になって、好奇と哀れみの目に晒されながら生きていくのは、二十歳の女には辛すぎる現実だった。
「るいちゃん。私ね、店を畳もうかと思ってたんだ。」
「…え?」
「息子がね、孫の面倒見に、一緒に住んでくれないかって言い出して。嫁さんも忙しいからね。それは別に構わないんだけど、遠いから。そうなったら店はもう無理かなぁと思ってたんだ。もし、るいちゃんにやる気があるならあの店貸すよ。裏の家も使ってくれてもいい。るいちゃんが嫌なら、相応の店賃取って誰かに貸すけどさ。あんなボロでも私の財産だからね。大事に使ってくれる人に貸したい。その点るいちゃんなら安心だ。るいちゃんに使って貰えんなら店賃なんか要らないよ。」
数日振りのまともな食事。
食べていると、また涙が込み上げる。
美味しい。
食べものが美味しい、と思えるのは、身体は生きたいと願っているということだ。
だが心は。
こんな姿になって、好奇と哀れみの目に晒されながら生きていくのは、二十歳の女には辛すぎる現実だった。
「るいちゃん。私ね、店を畳もうかと思ってたんだ。」
「…え?」
「息子がね、孫の面倒見に、一緒に住んでくれないかって言い出して。嫁さんも忙しいからね。それは別に構わないんだけど、遠いから。そうなったら店はもう無理かなぁと思ってたんだ。もし、るいちゃんにやる気があるならあの店貸すよ。裏の家も使ってくれてもいい。るいちゃんが嫌なら、相応の店賃取って誰かに貸すけどさ。あんなボロでも私の財産だからね。大事に使ってくれる人に貸したい。その点るいちゃんなら安心だ。るいちゃんに使って貰えんなら店賃なんか要らないよ。」

