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another storys
第18章 彼岸花【陽炎】
「女将さん…」.

「悪い話じゃないと思う。どっちにしたって働かなきゃ食べて行けないんだからね。ま、まだ少し先の話だから、考えといて。出る気になったら働きにきて頂戴な。待ってるからね。」

元気付けるように、るいの手を両手で握って、女将は帰っていった。

着物をきっちりと着込めば、見えるのは顔だけだ。

るいは、白粉を買い、顔に塗った。
ボコボコとした質感はあったが、赤みが隠れるだけでもマシな気がした。

そうして料理屋に出るようになった。

一方信吉は、るいの店に飯を食いに来ることはなくなり、るいが店に出ている間に家に帰り、るいが帰ってくる時分にまた家を出る。

同じ部屋に住んでいるのに顔を合わせない。奇妙な生活がしばらく続く。
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