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第18章 彼岸花【陽炎】

るいは、漢字が読めなかったが、書いてある内容は知っている。
双方話し合いの上、離縁する、今後お前が誰と縁組みしようともこちらに異議はなく、翻意もない、ということだ。
三行半…

まさかこんな形で見ることになるとは。

何が話し合いの上だ！人の金持ち逃げしやがって‼︎
ふざけんな信吉‼︎
死んじまえ、馬鹿野郎‼︎

泣き叫びたかったが、夜中の長屋で大きな声など出せるはずもなく、るいはその紙をぐしゃりと握り潰し、ポロポロと涙をこぼした。

馬鹿野郎！

馬鹿野郎 ‼︎

馬鹿野郎 ‼︎‼︎

………違う


馬鹿は私だ…

あんな男を信じて、全部持ってかれた…


男を見る目がなかっただけだ…


それでも。

勉強代と片付けるには、あまりにも大きな代償だった…

今月の店賃どうしよう…
殆ど働いてないからお給金もないのに…

溜息を吐き、途方に暮れた。