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another storys
第24章 かわいいひと【Cross roads】
「あ…あの、オーダーって、幾らくらいかかるんだろう…?俺、オーダーでスーツ作った事なんかないから全然知らなくて…それに、俺ぶっちゃけあんまり金ないんだよね…家賃とか親父に借りてるマンションの初期費用の返済とかの固定経費があるから…ご祝儀はまぁ月1万ずつ確保するとして、スーツ代って一気に用意するの、難しいかも…」

女の子にお金の話なんてカッコ悪い…とは思うけど、ここはカッコつけるトコじゃない。ヨユーこいて簡単にイイね、なんて返事して内心ドキドキしたり、親父に泣きつく方がよっぽどカッコ悪い。だから、正直に打ち明ける。

「んー、ピンキリかな。生地の質にもよるし。でも、いつも買ってるスーツに色を添えた程度で、なんとかできないか聞いてみる。ご予算として、用意できるのはどこまで?」

「普段…買ってるのは5万以下…でもそれも独り暮らし始めてから新調してないし…今買うとなってもそれ以上はちょっと…2〜3回に分割とかならならなんとか…10、までは…」

とは言ってみたものの。
これからどれくらい活用するかもわからないスーツに10万割くのは正直厳しい。夏のボーナスは定期口座に入れちゃったし、冬のボーナス払いができればまだイケるかな…

「わかった。多分大丈夫。相談してみる。」

美佳ちゃんはニコッと笑って。
俺は次の土曜日に、美佳ちゃんの家の近くにある、『テーラータジマ』に初めて行くことになった。
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