この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
another storys
第27章 帆掛舟【潮騒】
すぐに滝本さんが来てくれ、木戸を直してくれた。
助かりました、と礼を言うて、お代を聞いたら、大した仕事やないし、蝶番一つしか使うてないから代金なぞ要らん、と受け取ってくれず。
渡すの受け取れんのとしばらく押し問答した末、家に上げてお茶とお菓子を振る舞った。

「奥さんと赤ちゃん、お元気にしてはりますか?もぅ、娘さんも大きなったやろうねぇ。もうすぐ二歳でしょう。可愛い盛りやわ。」

「それは…三人目でまぁ、初めての女の子ですんで。上の子らにはお父ちゃんは小春には甘いと叱られますわ。」

はは、と頭を掻きながら笑うので、私もつられて笑った。

「奥さんも、女の子やって分かったとき、嬉しそうにしてはりました…もう四人目は考えておられませんの?」

なんの気なしに聞いた言葉に、滝本さんの顔が曇る。

「…家内は…亡うなりました…」

「え⁉︎」

「小春のお産が重かったからか、すっかり弱ってしもうて…寝たり起きたりが続きましてな。この前の冬、熱風邪拗らして。…なんや、人の最期っちゅうのは、あっけないもんですなぁ…」

遠い目で呟く。

「お気の毒なことでした…悪いこと聞いてしもて…」

「いいえ、先生のせいやなし、気にせんとって下さい」

滝本さんは取り繕うように笑って見せた。
その顔は、寂しかった。
/647ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ