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another storys
第27章 帆掛舟【潮騒】
昭和十八年…
私が田舎から出てきて、十二年が過ぎた。
二年前に開戦した大東亜戦争の雲行きが、かなり怪しくなってきて、食べ物も配給制になり、お金があっても物が買えんようになった。
幸い、田舎はまだそんなこともなかったらしく、私は着物と交換を装って田舎にお金を送り、食べ物を工面してもろうた。
中身が食べ物やら金やとバレたら誰に取られるや知らんから、いつも戦々恐々としてたけど。
三人の娘は田舎に疎開させたけど、戦時下でも、もちろんお産はある。
寧ろ、旦那が出兵する前に出来た子があちこちで生まれとった。だから、疎開は出来んかった。
誰かが、私の手を必要としてくれる限り。
一郎は大学に行っとったから、召集はされてなかったけど、いつ行けと言われるかは分からんかった。
私が田舎から出てきて、十二年が過ぎた。
二年前に開戦した大東亜戦争の雲行きが、かなり怪しくなってきて、食べ物も配給制になり、お金があっても物が買えんようになった。
幸い、田舎はまだそんなこともなかったらしく、私は着物と交換を装って田舎にお金を送り、食べ物を工面してもろうた。
中身が食べ物やら金やとバレたら誰に取られるや知らんから、いつも戦々恐々としてたけど。
三人の娘は田舎に疎開させたけど、戦時下でも、もちろんお産はある。
寧ろ、旦那が出兵する前に出来た子があちこちで生まれとった。だから、疎開は出来んかった。
誰かが、私の手を必要としてくれる限り。
一郎は大学に行っとったから、召集はされてなかったけど、いつ行けと言われるかは分からんかった。