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another storys
第27章 帆掛舟【潮騒】
ある日、久しぶりに善次郎さんが訪ねてきた。
二年前。
再婚して欲しいという善次郎さんの申し出を断って以来、音沙汰がなかったのに、いきなり訪ねてきた。
あの日。
いつものように家でお茶を飲み、話をしとったとき。
善次郎さんが、再婚を考えとる、と言うた。
「へぇ、おめでとう。よかったわねぇ。善次郎さんはまだまだ男盛りやもの。結婚したほうがええわ!」
「…ほな、はつ江先生。俺と添うてくれるか…?」
「えぇ⁉︎」
「…俺、はつ江先生のことが好きや。だから、俺と結婚してくれんか。」
「…悪い冗談やわ…どうせ貰うねやったら、私みたいな大年増やのうて、もっと若い子貰わんと。」
「…はつ江先生のことが好きや。」
善次郎さんは、私の目を見ながら、重ねて言うた。
「…私は…」
「俺のことが嫌いか?」
「…私は…、もう、大事な人は作らんと決めた…」
「死んだ旦那に何時まで操立てんのや!もう十何年も経ってんのやろ⁉︎ 自分の幸せ考えてもええやないか!」
「…そんなんと違う! 亡くなった主人はもう関係あらへん…そうやないけど、もう、結婚はしとうない…子供と、食べて行けるだけの仕事があるから、これ以上は望んでないの…」
二年前。
再婚して欲しいという善次郎さんの申し出を断って以来、音沙汰がなかったのに、いきなり訪ねてきた。
あの日。
いつものように家でお茶を飲み、話をしとったとき。
善次郎さんが、再婚を考えとる、と言うた。
「へぇ、おめでとう。よかったわねぇ。善次郎さんはまだまだ男盛りやもの。結婚したほうがええわ!」
「…ほな、はつ江先生。俺と添うてくれるか…?」
「えぇ⁉︎」
「…俺、はつ江先生のことが好きや。だから、俺と結婚してくれんか。」
「…悪い冗談やわ…どうせ貰うねやったら、私みたいな大年増やのうて、もっと若い子貰わんと。」
「…はつ江先生のことが好きや。」
善次郎さんは、私の目を見ながら、重ねて言うた。
「…私は…」
「俺のことが嫌いか?」
「…私は…、もう、大事な人は作らんと決めた…」
「死んだ旦那に何時まで操立てんのや!もう十何年も経ってんのやろ⁉︎ 自分の幸せ考えてもええやないか!」
「…そんなんと違う! 亡くなった主人はもう関係あらへん…そうやないけど、もう、結婚はしとうない…子供と、食べて行けるだけの仕事があるから、これ以上は望んでないの…」