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another storys
第27章 帆掛舟【潮騒】
「…あきません。私は…貴方に生きて帰ってきて欲しい。だから、今、望みは叶えられません。小春ちゃんや、荘太くんや、浩司くんの為に、必ず生きて戻って来てください。…その時なら、こんなおばさんでよければ、喜んでお迎えします…」
涙が。
つっと頬を伝う。
「…そうか…分かった…ほなら、生きて帰ってくるわ…その日を楽しみに…」
善次郎さんの目尻にも、涙が浮かんだ。
善次郎さんは、私の手を離し、くるりと踵を返して出て行った。
「…お待ちしております…行ってらっしゃい…お元気で…」
私は、頭を下げて見送った。
…それが、善次郎さんを見た、最期やった…。
涙が。
つっと頬を伝う。
「…そうか…分かった…ほなら、生きて帰ってくるわ…その日を楽しみに…」
善次郎さんの目尻にも、涙が浮かんだ。
善次郎さんは、私の手を離し、くるりと踵を返して出て行った。
「…お待ちしております…行ってらっしゃい…お元気で…」
私は、頭を下げて見送った。
…それが、善次郎さんを見た、最期やった…。