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another storys
第27章 帆掛舟【潮騒】
戦争が終わり、幸い家の周りは空襲を免れ、家は焼け残ったけど、大阪も神戸も、皆焼け野原で。
駅なんかには住むとこを無くした人が仰山居てて、食べ物を、着る物を、と縋ってくるから大変やった。
勿論私らかてそうなってた可能性はあるし、気の毒やとは思うけど、知り合いならともかく、一人に施しをしたら我も我もと群がってきて、身包み剥がされそうな勢いやし、埒があかん。
皆、自分の事で手一杯で。
人の事まで気に掛ける余裕が無い。
戦争は、人の、人らしい心まで奪う。
そう思った。
駅なんかには住むとこを無くした人が仰山居てて、食べ物を、着る物を、と縋ってくるから大変やった。
勿論私らかてそうなってた可能性はあるし、気の毒やとは思うけど、知り合いならともかく、一人に施しをしたら我も我もと群がってきて、身包み剥がされそうな勢いやし、埒があかん。
皆、自分の事で手一杯で。
人の事まで気に掛ける余裕が無い。
戦争は、人の、人らしい心まで奪う。
そう思った。