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another storys
第27章 帆掛舟【潮騒】
悩んでも笑っても、お産はひと仕事。
それならできるだけ、お母さんには、思い詰めず、キリキリ悩まず、赤ちゃんのことを楽しみにしながらその日をまで過ごしてほしかった。
そらよう動くから男の子やとか、お腹が前に突き出たら男の子やとか、色々傾向はあるけど、経験上、全て個人差やと思っとった。
元気に動き回る女の子も、大人しい男の子も見てきたし、お腹の中でお母さんが困るほどの暴れん坊が、生まれたらおしとやかな女の子に育ったりもするもんや。
こればっかりは、人が賢しらを言うてどないこない出来るもんやない。というのが私の持論やった。
結局、その赤ちゃんは男の子やったのやけど、四人目でもう産道も出来とる筈やのに、予定日を過ぎても中々生まれず。また不安になりかける奥さんのお腹を触っては、
「大丈夫、ちゃんと心音は聞こえとるよ。よっぽど居心地がええんやね、まだ出てきとうないんやわ。もしもーし、寝坊助さん?おねむのとこ悪いけど、早よ出て来て可愛いお顔見せて頂戴な?」
時間の許す限り、西宮のお宅に通って、奥さんのお腹をさすっては話しかけた。
それならできるだけ、お母さんには、思い詰めず、キリキリ悩まず、赤ちゃんのことを楽しみにしながらその日をまで過ごしてほしかった。
そらよう動くから男の子やとか、お腹が前に突き出たら男の子やとか、色々傾向はあるけど、経験上、全て個人差やと思っとった。
元気に動き回る女の子も、大人しい男の子も見てきたし、お腹の中でお母さんが困るほどの暴れん坊が、生まれたらおしとやかな女の子に育ったりもするもんや。
こればっかりは、人が賢しらを言うてどないこない出来るもんやない。というのが私の持論やった。
結局、その赤ちゃんは男の子やったのやけど、四人目でもう産道も出来とる筈やのに、予定日を過ぎても中々生まれず。また不安になりかける奥さんのお腹を触っては、
「大丈夫、ちゃんと心音は聞こえとるよ。よっぽど居心地がええんやね、まだ出てきとうないんやわ。もしもーし、寝坊助さん?おねむのとこ悪いけど、早よ出て来て可愛いお顔見せて頂戴な?」
時間の許す限り、西宮のお宅に通って、奥さんのお腹をさすっては話しかけた。