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another storys
第30章 思い出の味【社内恋愛のススメ・Cross roads】
遙が箱を開け、

「わぁ、いっぱい…何個あるんだろう…」

と数えだした。全部で20個あった。一段の平箱で、一個が結構ボリュームあるやつだ。箱の横には『特秀』という金色のシールも貼ってある。

地元で買ったら、こっちでこのサイズを20個買うよりは安いだろうけど、別に農家の親戚がいるわけでもないし、結構すんのにな…

飯を食べ終え、食器を流しに置いて、再び座る。風呂の準備ができた音が鳴って、遙が入りに行った。

俺はお袋に電話をかけた。

数コールで繋がる。

「もしもし、お袋?」

「あ、今お母さんお風呂入ってるんだけど、どうしたの?」

電話に出たのは姉貴だった。

「や、今日林檎届いたから、礼言おうと思ってさ。」

「あぁ、届いたのね。靖幸さんの仕事の関係で、少し安く分けて貰えるツテが出来たから。遙さん赤ちゃんが生まれるんだし、なんかしてあげたいってお母さんがね。遙さん、調子どう?」

「順調だよ。今8ヶ月。遙は今風呂に入ってるから、お袋にはまた明日にでも電話するわ。昼間なら居るんだろ。」
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