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another storys
第30章 思い出の味【社内恋愛のススメ・Cross roads】
シュークリームをコーヒーとともに食べたあと、私は買ってきたバームクーヘンを切り分けた。
ワックスペーパーの袋に入った、自宅用の簡易包装のバームクーヘン。直径20センチ、高さ6センチくらいのものが4分割されて、ひとつ入ってる。つまり、進物用の4分の1のサイズってこと。

進物用と違って、保存料が入ってないから、当日中にお召し上がり下さいのシールが貼ってある。
日持ちしないから、本当の自宅用だけど。
でもふわふわで大好き。
結構大きいから、半分で十分食べでがある。
ウチは4人家族だから、それを2袋買ってきた。

「初めてと言えば。このバームクーヘン。誠治さんが私に初めて持ってきてくれたお菓子なの、覚えてる?」

「そうだっけ?」

「そうよ。まだ付き合う前。私がいたお店に誠治さんが来た…何回目だったかしら。会社の女の子がおいしいって言ってたから、寄って買ってきたんだって、この袋ひとつくれたのよ。覚えてないの?」
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