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another storys
第4章 化猫奇譚【陽炎】
それに反論するのも愚かしいこと、とわかっている。事実、今親子が食べていけるのは、盗賊時代の蓄えがあるからだ。

山中の一軒家、ひとところにまとめて置いておいては、夜盗に入られぬとも限らない。
人というのは随分勝手なもので、何やかやと屁理屈を捏ねては己を正当化する。
囲われ者なら無くなればまた頂けるのだろう、と留守宅に近隣の民と思われる空巣が入る事もしばしばあった。
家探しされ、家を荒らされたことも一度や二度ではない。

だから床下の銭箱にはさほど蓄えは置いていない。

色々な所に分けてしまってあり、その隠し場所は八尋しか知らぬ。

盗賊であった八尋だからこそ、賊に狙われやすい場所はよく分かっている。

家探しされてもさほど被害がないのはそのためだ。だから余計に、噂に尾びれ背びれが付き、どんどん膨らんでいく、悪循環だった。
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