この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
another storys
第4章 化猫奇譚【陽炎】
「悪童を懲らしめたい?」
幾分落ち着いた猫は、また新しい部屋に戸惑い、毛を逆立てる。
兵衛は苦笑して、八尋に壁際の棚の引き出しをひとつ抜いて持ってこいと指示をする。
言われた引き出しを開けると、様々な紙包みが入っている。
兵衛はその中からひとつ抜き、枯れ枝のようなものを猫に向かって投げた。
突然猫がピンと耳を立て、小枝に飛びつくや、その小枝に身を擦り付け、ゴロゴロと嬉しそうに喉を鳴らす。
「猫にマタタビ、と言うであろうが」
兵衛は意外に猫が好きなようで、眦を下げニコニコしている。
「近隣でも評判の悪餓鬼どもなんだ。いつもろくなことをしないんだけど、この子はそれが許せないみたいでね。
私も市八がやられっぱなしなのは悔しいし、向こうが獲物でも使ったら大怪我をしないとも限らない。どうにか一泡吹かせてやれないかと思ってる。」
「血は争えんの」
「本当だね」
鷺と兵衛が口々に笑った。
幾分落ち着いた猫は、また新しい部屋に戸惑い、毛を逆立てる。
兵衛は苦笑して、八尋に壁際の棚の引き出しをひとつ抜いて持ってこいと指示をする。
言われた引き出しを開けると、様々な紙包みが入っている。
兵衛はその中からひとつ抜き、枯れ枝のようなものを猫に向かって投げた。
突然猫がピンと耳を立て、小枝に飛びつくや、その小枝に身を擦り付け、ゴロゴロと嬉しそうに喉を鳴らす。
「猫にマタタビ、と言うであろうが」
兵衛は意外に猫が好きなようで、眦を下げニコニコしている。
「近隣でも評判の悪餓鬼どもなんだ。いつもろくなことをしないんだけど、この子はそれが許せないみたいでね。
私も市八がやられっぱなしなのは悔しいし、向こうが獲物でも使ったら大怪我をしないとも限らない。どうにか一泡吹かせてやれないかと思ってる。」
「血は争えんの」
「本当だね」
鷺と兵衛が口々に笑った。