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第4章 化猫奇譚【陽炎】
真っ暗な林の中。
帰路を急ぐ嘉助達は、一言も発しない。

夜目の効く鳥が、餌を探して飛んだ。しなった梢の揺れる微かな音に三人は、びくりと飛び上がる。ホゥ、という鳴き声ですら不気味に聞こえた、

嘘に決まってる….タタリなんかない…
己に言い聞かせるように何度も胸の内で呟く。

アジトが近づくにつれ、三人の足並は徐々に早まり、しまいには小走りになる。

そこに。ぱたり、と何かが落ちた。

ざわざわざわざわ…

風がないのに木の枝が揺れる。
太吉が手に持った提灯で音のした方を照らす。
黒っぽいシミが点々とある。
上を見ても何も見えない。

再び、次は頭上に、ポタリと来た。
クビに、肩に、頰に、次々と滴るそれを、手で拭い、提灯で照らす。

手にべったりとついた赤いーーー血。


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